今回紹介するのは、藤本昌樹さんの『心の傷を消す音楽CDブック』。
「心の傷=トラウマ」は不眠、うつ、パニック障害、めまい、腰痛など、私たちの身体に様々な影響を与えます。
強いトラウマ体験ではなくても、ちょっとした傷の蓄積で、少しずつ根の深い問題になっているケースもあり、このトラウマの問題は全ての人が向き合っていくべき問題ではないかと私自身は考えています。
この本はCDが付属されていますので、本文だけでなく、CDに関するレビューも一緒に行っていこうと思います。
✔ ストレスを抱えている。
✔ 不眠、うつなどの症状に悩んでいる。
✔ 精神科・心療内科に抵抗がある。
✔ トラウマ治療に関心がある。
✔ EMDRやBCT(ボディ・コネクト・セラピー)に関心がある。
本書の基本情報

基本情報
タイトル:『心の傷を消すCDブック』
著者:藤本昌樹(東京未来大学こども心理学部准教授・臨床心理士)
出版社:マキノ出版
価格:1,500円+税
ページ数:126p
ISBN:978-4-8376-7276-0
付属CDを聴いた人の声(本の帯より)
パニック発作が解消 / 過呼吸やめまい、動悸、耳鳴り、頭痛が改善 / 不眠や悪夢が解消 / 強迫性障害が改善 / 長年休んでいた学校に通えるようになった / 集中力が出てきた / 不眠が解消した / 一人でいるときの不安感や恐怖感が消えた / あせりや不安感がなくなった / 自殺を思いとどまることができた / 親との愛着の問題が解消など
引用元:藤本昌樹『心の傷を消す音楽CDブック』本の帯より
おすすめポイント

トラウマや愛着に関する理論が簡潔にまとめられている。
PTSDの症状、記憶がトラウマになっていく過程、自律神経のはたらき、愛着タイプなど、どれも簡潔にまとめられています。
理論書ではないので、内容自体は薄いのですが、トラウマや愛着について知っておいた方がいい最低限の知識はこの本で得られるかと思います。
ある程度予備知識があると、自分の身体感覚やトラウマとどう向き合っていけばいいのかがなんとなくわかってきて、普段の生活の中で、どう課題と向き合ったり避けていったりすればいいかが見えてきます。時に「ストレス」から逃げる、という事も大切です。全て全身で受け止めてしまおうとすると、かなりの負荷がかかり、傷は深くなるばかりです。
この本から自分の現状をある程度、知識として入れておきましょう。
とても読みやすく1時間程度ですべて読み切れると思います。その点でもストレスのかからない本だと言えます。
もし、トラウマ治療に関してもう少し詳しく知りたいのであれば、ヴァン・デア・コーク『身体はトラウマを記録する』という本をおすすめします。トラウマに関するあらゆることがこの本で学べると思います。とても良い本だったので、この本の書評も近いうちに書きたいなと思っています。
愛着に関しては、このブログでも紹介した、岡田尊司さんの本がおすすめです。書評記事を貼っておきますね。
付属CDのクオリティの高さとBCTの安全性
この本は、BCT(ボディ・コネクト・セラピー)という手法について書かれています。
トラウマ治療についてはEMDRが特に有名なのですが、BCTはEMDRよりも安全にトラウマにアプローチできると言われています。EMDRは眼球を左右に素早く動かしながらトラウマにアプローチしていくような手法で、BCTについてもEMDRの手法を少し取り入れられてて、眼球運動をさせることもあるようです。
眼球運動によって、交互刺激を繰り返すうちに左右の脳の働きが整い、脳に保管されているトラウマ記憶が、恐怖や苦痛を伴わない普通の記憶の一つへと処理されると考えられているそうです。
それに付け加え、BCTでは「タッピング」という方法もとられます。
身体の各部位(ツボ)をリズミカルにトントンと叩くことで、イライラや不安、緊張などを解消する効果があります。タッピングを行いながら記憶にアプローチしていくことで、EMDRよりも安全にトラウマ記憶の処理が行えるそうです。
BCTは基本的に専門的に学んだカウンセラーにしか実施できないのですが、この本に付属している音楽CDを用いることで、自分でもある程度BCTに近い効果を得ることができます。これが本書の一番の魅力ですね。
このCDは音楽が左右交互に流れてくるような仕組みになっています。イヤホン・ヘッドフォンで聴くことでよりそれが実感できます。交互に刺激が与えられるというのがポイントで、これが眼球運動を左右に素早く動かすのと同じような効果を与えます。タッピングを行いながら、付属CDを聴くことで、ある程度自分で記憶の処理ができ、気持ちを落ち着かせることができます。
もちろん、気分が悪くなることもあるようなので、その場合はEMDRやBCTに理解のある病院やカウンセラーに相談してください。あくまでも、このCDは補助的な役割として使うのがよいと思います。
自分も実際に1週間程度使ってみましたが、とてもきれいな音楽で聴いてて心地いいですし、今のところ飽きもきていないです。また、よく眠れるようにもなりました。個人差はあると思いますが、ちょっと病院に行くのは抵抗がある、という方は試してみる価値は十分にあるかと思います。
まとめ
この本は、音楽CDが付属されているのが特徴で、むしろこのCDが本体と言ってもいいくらいです。
私自身、普段ヒーリングミュージックをよく聴くのですが、その中でも結構クオリティの高い音楽だなと感じました。(ちなみに、ヒーリングミュージックの中ではダン・ギブソンさんのCDを強くお勧めしています)
カウンセリングに興味のある方いらっしゃると思いますが、1時間8000円とか1万円とか普通にするのでなかなか継続的に通うのが難しかったりします。この本なら1500円である程度自分を癒すことができるので、おすすめです。CDを聴いて、自分のペースでセルフコントロールを行えるようになるだけで、かなり楽になれると思います。
このストレス社会を生き抜くには、自分で自分を守ることがとても大事になってきます。どんなことでもいいので、自分が安らげる方法を探してみて下さいね。この本がその1つの方法になれば幸いです。